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Columnコラム

点字名刺に切り替えよう!

名刺って見える人にしか分からない

リモートでの打合せが増えたこの頃ですが実際に渡す場面もまだまだある名刺。でも名刺って、印刷された字が読める人にしか情報が伝わりません。そんな名刺をより伝わるものにしてくれるのが点字名刺です。

ココロスキップの点字名刺プロジェクト

今回P-Fabが点字名刺を注文したのは、就労継続支援B型事業所「ココロスキップ」。身体・精神・知的障害者の方が働く福祉作業所で、点字名刺の作成以外にも様々なお仕事をしています。

そのなかのひとつ「点字名刺プロジェクト」は視覚障害のある方が1枚ずつ点字名刺を作ってくれるというもの。プロジェクトには視覚障害以外にも様々な理由で一般就労が難しい方々が携わっており、名刺の注文が来てから発送まであらゆる工程がある中で、それぞれが得意なことを担当しています。

設立から今年で16年目を迎え、現在はシンガポールやマレーシア、台湾など国内にとどまらず海外からも好評の声が届いています

さらにすごいのは、売り上げから必要経費を除いた全てが工賃(収入)になること。B型事業所は雇用形態では無いため最低賃金というものがありません。1ヶ月あたりの最低金額は定められているものの、工賃の低さはしばしば問題となっています。

売り上げがほとんどそのまま収入になるこのプロジェクトは、自分の名刺をよりよいものにできるうえ、注文することで生活を支えることができる素敵なプロジェクトなんです。

点字名刺を注文しよう

ここからはP-Fabが点字名刺を発注したときのレポートです。

注文枚数は1人100枚1セット。自分で用意した名刺を送って刻印してもらいます。100枚に満たなくてもお値段据え置きで1セットとして注文できるので、今回は手元に数枚残して80枚ほどを刻印してもらうことにしました。

オンライン・電話・メールで注文が可能ですが、オンラインでの注文がかんたんでした。注文ページにて必要な項目を入力し、口座振り込みかAmazonPayで支払いを行います。

注文が完了したら名刺を郵送します。注文完了後や名刺が到着した後お知らせメールが届き、進捗もわかるので安心です。

名刺カットオプションがおすすめ

画僧:名刺の右上を角丸にカットしたイメージ

点字名刺をさらにグレードアップしてくれるのがこのオプション。名刺の右上を角丸にカットしてくれるというもので、このカットを入れることで触るだけで名刺の上下がわかるようになります。

恐らく名刺カットが無くても点字を読み取れば上下を判断できます。しかしこれは「毎回点字を読み取らないと上下がわからない」ということ。見える人が名刺をパッと見で上下を判断するより確実に負担があると考えました。より一層使える名刺になるはず、ということでこのオプションをつけました。

刻印内容について

表記や名刺のどの内容を刻印するか、改行してよいかなど刻印にあたってメールで丁寧に確認を行ってくれます。

P-Fabの場合は社名がアルファベットで名刺が縦型です。アルファベットよりも読みやすい読みがなで刻印してよいか、縦型名刺は幅が狭いため1行に収まらない名前を改行してよいか、など細やかな提案をいただきました。アルファベットの点字もありますが視覚障害者にとって複雑でかなり読みにくいため、かな文字での表記を推奨しているそうです。

名刺が届いた!

注文しておよそ1週間で郵送で届きます。封筒にも点字が刻印されていてビックリ。

写真:ココロスキップの点字名刺プロジェクトの封筒。「テンジ メイシ プロジェクト」と点字が打ってある

名刺の刻印はこんな感じ。刻印も右上の角丸カットもきれいで、自分の名刺がひと回り成長して帰ってきた感じで感動します。

写真:届いた字名刺。裏表が並んでいる。
写真:届いた点字名刺の点字部分をアップにしている。

刻印された名刺の他、「どう刻印しているか」の見本や担当者様からのお手紙も同梱されています。担当者様からは点字で、代筆の文章も添えていただいていました。また、打ち損じた名刺も破棄せず大切に届けてくれています。

点字の刻印と打ち損じ

これは筆者の意見ですが、点字の刻印は普通の印刷物よりも様々なミスが起こりやすいものだと考えています。

点字は2×3の1マスの中でどこに点が入るかで文字が決まります。濁音や数字の場合は2マス使用するため2×3×2の12ヶ所とさらに増え、これらの位置を1ヶ所も間違えず全ての文字を刻印しなければなりません。

点字のイメージ画像。点字で「めいし」と書いてある。

筆者の名刺の場合は社名と名前で合計11文字、先述した2×3の1マスで換算すると1枚あたり13マス。これを1ヶ所でも打ち間違えると違う文字(あるいは存在しない文字)になり名刺としての機能を失います。

ココロスキップでは専用の機械を使用し点字名刺を制作していますが、機械といっても全自動ではありません。名刺を1枚ずつ機械にセットし刻印しています。点字を間違いなくセットし、1枚1枚間違いなく作っていく。そんな重大な仕事をココロスキップでは手作業で行っているのです。

それが80枚あるので相当の数の刻印が必要です。そんな中、打ち損じ(といっても言われないと分からない程度の傷)はたったの1枚でした。担当する人や刻印する内容によって変わるとしても、精度の高さがおわかりいただけるでしょう。

ココロスキップに依頼する意義

点字のことは点字のプロに任せたい。しかもそれがその人の生活の支えになるなら、なおさらお願いしたい。」これがP-Fabがココロスキップに点字名刺を依頼した理由です。

P-Fabはアクセシビリティを推しておきながら、名刺というものに大きな壁があることに気づいていませんでした。そこに気づかせてくれたのが点字名刺の存在であり、ココロスキップの点字名刺プロジェクトです。

点字名刺の取り扱い自体は一般的な印刷所にもありますが刻印の指示は発注者が行うことが多いようです。しかし今回実際に注文をしてみて、普段点字を利用していない自分が出した刻印指示が点字を利用する人にとって適切か、現実的に可能かという判断は難しいことを実感しました。

その点ココロスキップには点字を使える人が在籍していて、さらにそれを仕事にしていて、当事者の目線で提案してもらえます。頼まない理由はありませんよね。

ココロスキップでは名刺以外も点字封筒や点字シール、その他ハンドメイドグッズも販売中。オーダーについての詳しい説明なども公式ページに掲載されています。ぜひ一度ご覧ください!