企業が「今」アクセシビリティを考えるべき理由
企業とお客様の距離が近くなった世の中
インターネットの普及で企業とお客様の距離がより近いものになりました。企業理念でどれだけ素晴らしい発信をしていても、SNSやネットニュースによってイメージが一変する事案が後を絶ちません。それだけお客様は「企業のあり方」を注視するようになったといえます。
企業の取り組みは見られている
スープストック東京が2023年4月に話題となったことはご存じでしょうか。「離乳食後期の全店無料提供」開始にについてネット上では様々な声が上がりましたが、同社はベジタリアン対応スープの販売や咀嚼配慮食サービスなど、これまでの取り組みとともに自社の在り方を発表しています。
私たちスープストックトーキョーの企業理念は、「世の中の体温をあげる」です。
スープという料理を通じて身体の体温をあげるだけではなく、心の体温をあげたい。
そんな願いを一杯のスープに込めた事業を行っています。その理念のもと、さまざまな理由で食べることへの制約があったり、自由な食事がままならないという方々の助けになれればと「Soup for all!」という食のバリアフリーの取り組みを推進しています。
(略)
私たちは、お客様を年齢や性別、お子さま連れかどうかで区別をし、ある特定のお客様だけを優遇するような考えはありません。
出典:スープストック東京|離乳食提供開始の反響を受けましてより一部抜粋
社会の課題解決に取り組む真摯な声明は多くの支持を集めました。このように、企業の取り組みや社会に対しての在り方は時に大きな反響を呼びます。
アクセシビリティ確保も社会の課題解決のひとつ
様々な企業が様々な課題解決に向けてサービスや新事業を展開していますが、それら全てがスープストック東京のように社会の課題解決につながっているとは限りません。ですがどんな企業でも社会の課題を少しでも解決に近づけられることがあります。それがアクセシビリティの確保です。
アクセシビリティは障害の有無に関わらず情報を受け取れるかどうかの指針です。「障害の有無に関わらず」というと障害者だけのために受け取られがちですが、「閲覧者がどんな状況でも」と言っても過言ではありません。それはあなたの企業のお客様全てが対象になるということです。
約半数はアクセシビリティ確保に取り組めていない
総務省発表の通信利用動向調査:報告書及び統計表一覧(企業編)(PDF)によると、どの業種でも90%以上の企業がホームページを開設していました。しかし、同報告書のアクセシビリティ準拠についての調査結果によると、令和3年時点で「そもそもアクセシビリティを知らない」という回答が54%を占めています。
本来ホームページは、インターネットさえ利用できれば誰でも情報を得られるべきです。それを約半数の企業は無意識に障害者を排除したり、お客様の閲覧環境を制限してしまっている恐れがあることになります。
取り組まれていない今こそ表明を
アクセシビリティの確保はスープのように何かを販売したり目に見えるものを提供したりする”物”ではありませんが、見えないからこそ取りこぼされてきていた社会の課題です。そしては大手企業や官公庁がすでに取り組んでいるように、当たり前になってきています。
今公開されているホームページがアクセシビリティの確保をできていなくても、取り組むことや今後の方針、改善を表明するだけでも一つの前進です。社会への姿勢を見てくれるお客様は必ずいます。当たり前のことをきちんと取り組む、そんな企業こそがお客様を大切にできるのではないでしょうか。