ウェブアクセシビリティ確保の義務化は間違い。でも…
ウェブアクセシビリティの整備は義務化されるわけではない
多くの方にご覧いただいている「ウェブアクセシビリティの確保が義務化されます」という記事(2024年4月24日現在、混乱を招くため記事は非公開にしています。)について続報です。
今回民間企業が義務化されるのは「合理的配慮」。ウェブアクセシビリティの整備は「環境の整備」に該当し、これは努力義務のままとなります。この度は飛躍した情報を掲載しましたことを深くお詫び申し上げます。
しかしこれは、「なにもしなくていい」というわけではありません。
合理的配慮と環境整備の違い
合理的配慮とは
個人から配慮の要望があった際に負担にならない範囲で対応するというもの。たとえば、筆談で接客したり、自分で文字が書けない人の代筆をするなどです。今回の「合理的配慮の義務化」は、個人から配慮の要望があった際に、負担にならない限り対応しなければらない、ということにります。
環境整備とは
合理的配慮を的確に行うために不特定多数に向けて事前に環境を整えておくというものです。動画の字幕や点字ブロックの邪魔にならないよう周囲を空けるなどです。こちらは努力義務のままとなります。
罰則ではなくお客様のことを考えて
そもそもアクセシビリティへの取り組みはどんな人・状況でもウェブの情報を受け取るために必要であり、様々な事情から優先順位を下げざるを得ないことはあっても、「罰則の有無」を基準に判断するべきではないと考えています。
また、昨今「ツールを導入するだけでいい」「ホームページを改修する必要がない」「法的リスクを減らせる」などといった広告もよく目にするようになりました。さらにそういったツールを導入している企業も少なくありません。
これについても「よく分からないが罰則を逃れるためにこれだけやればいい」といった理由で導入するのであれば、アクセシビリティ対応の本来の目的を見失っているように感じます。
アクセシビリティ対応ツールのメリット・デメリットについてはこちらの記事をご覧ください。
気づくところから初めてほしい
「今のホームページにどんな問題があり、それによって訪問したお客様にどんな困り事が起きるか」
伝えたいのは基準や試験項目など専門的な知識ではなく、「訪問したお客様のことを考えてみてほしい」ということです。アクセシビリティへの取り組みはまずこれを知ることからだと考えています。
義務化・罰則という期限が無いからこそ、問題と向き合い考える時間があると捉えてみてはいかがでしょうか。